ロニ・ホーン

The Selected Gifts, (1974-2015)

2017年12月8日 – 2018年3月4日


ラットホールギャラリーでは2017年12月8日から2018年3月4日まで、ロニ・ ホーンの個展を開催いたします。本展では、新作「The Selected Gifts, (1974-2015)」を展示いたします。「This is Me, This is You」(2008年)、「Roni Horn」(2010年)に続く、ラットホールギャラリーで3回目のホーンの展覧会となります。


Roni Horn
The Selected Gifts, (1974-2015), 2015-2016
Ink jet prints on Hahnemuehle paper, 67 parts
33 x 33cm (18 images), 33 x 35.5cm (3 images), 33 x 40.6cm (31 images), 33 x 45.7cm (9 images), 33 x 48.2cm (6 images)
Courtesy of the artist and Hauser & Wirth

ロニ・ホーン(1955年ニューヨーク生まれ、ニューヨーク在住)は、2009年に回顧展「Roni Horn aka Roni Horn」がテート・ミュージアム(ロンドン)を皮切りに、ランベルト・コレクション(アヴィニョン)、ホイットニー美術館(ニューヨーク)、ボストン現代美術館(ボストン)へ巡回するなど、国際的に活躍している作家です。現在は、グレンストーン・ミュージアム(メリーランド州ポトマック)にて大規模な展覧会が2018年1月まで開催されています。

本展は、彼女が41年間に受け取ってきた贈り物を撮影した写真67点で構成されています。贈り物には、手紙や本、手袋やブレスレット、友人の手によるドローイングや写真、恐竜の卵の化石やフォーチュンクッキーのおみくじなど、様々なものが含まれています。それらは、白い背景のもと淡々としたスタイルで、ほぼすべてが実寸大になるように撮影されています。これらの贈り物の写真が一斉に並ぶことで、贈り物と、贈り主である他者とを仲立ちとした、彼女自身のポートレートが物語られています。しかし作品を見る私たちには、贈り主が誰なのか、そしてこれらの贈り物がどんな意味や歴史や価値を有するのかは、謎に包まれたままです。

「それは、他者の視線を通じて見える姿であり、どんな鏡よりも的確な視点を示してくれます。友人や知人そして見知らぬ人の意図せぬ手助けなしに、ポートレートというものを私は想像することはできません」とホーンは語っています。彼女が本作を「代理的なセルフポートレイト(a vicarious self-portrait)」と呼ぶ理由もこの点にあります。本作には、彼女のキャリアの初期にあたる1974年から2015年までの41年間という時間の厚みだけでなく、贈り主と受取人との間の予期せぬ協働が組み込まれているのです。そして、41年にわたって大切にされてきた「宝物」のコレクションのなかから、撮影のために選別するというプロセス自体もまた、彼女自身のセルフポートレイトを形作っていると言えます。 本作は、意味やアイデンティティといったものの、不確かで定位しがたいその性質への問いを浮かびあがらせています。そしてこの問いこそ、写真や立体作品、さらにはアーティストブックに至るまで、ジャンルの違いを越えてロニ・ホーンの作品の隅々に繰り返し現れるテーマでもあります。



All images:
Roni Horn
The Selected Gifts, (1974-2015), 2015-2016
Ink jet prints on Hahnemuehle paper, 67 parts
33 x 33cm (18 images), 33 x 35.5cm (3 images), 33 x 40.6cm (31 images), 33 x 45.7cm (9 images), 33 x 48.2cm (6 images)
Courtesy of the artist and Hauser & Wirth

 

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